- 超微細気泡の作り方 -
一般に超微細気泡の作り方の代表的なものとして、以下の6種類が挙げられる
①旋回方式
円筒状の本体の内部に向けて接戦方向より高速で液を圧入することにより内部に旋回流を発生させ、上端面中央の孔より噴出させる。この時、旋回液流の回転軸付近は動圧分だけ減圧になるため、下端面の孔よりガスを吸引することが出来る。吸引されたガスは上端面の孔を通過する際に微細化され微細気泡(マイクロナノバブル)を発生する。
➁加圧溶解式
空気と水の混相を予圧し、溶解ガス成分を過飽和させた水を製作しておく。減圧弁を用いて水中にフラッシュさせると、過飽和分のガス成分が水中から超微細気泡となって析出する。メカニズムとしてはビールの泡と同じであり、より小さな微細気泡の発生が可能である。
③エジェクター式
ガス分散器内に意図的にキャビテーションが発生するように流路を変形させ、超微細気泡を発生させる。
④ベンチュリ―式
流体流路の途中にストローと呼ばれる絞り部分があるベンチュリ―の中に液体と気体を同時に流すと、液流速の急激な変化により発生した衝撃波が大気泡を粉砕し超微細気泡を発生させる。
⑤混合蒸気直接接触凝集式
予めスチームと非凝集性のガスを混合し、ノズルから冷却水中に混合蒸気からなる気泡を分散させる。気泡中のスチーム成分は冷却され水化する為、体積が著しく減少する。しかし、非凝集性のガス成分の為、完全には凝集出来ずに超微細気泡を生成する。
⑥超音波振動
超音波の振動を液中に伝え、液中でキャビテーションを起こすことで超微細気泡を生成する。
⑦超微細孔式 ※当社方式
ナノレベルの微細孔より気泡を噴出させ、更に微細孔境界に液流を与えることで気相が微細に切断され、超微細気泡を発生させる。
<開発経緯>
強制力(高速液流・攪拌)を伴う気泡は微生物にストレスを与える為、生物活性に有効でないと判断し、微細孔式によりサブミクロンのサイレントバブルを生成する当社独自技術の開発を行った。しかしながら、多孔性材料に空気を圧送し、気泡生成に挑戦するも、気泡径を小さくしても隣り合う孔より出た気泡は互いに吸着(合一)し、大きな気泡となって水面に浮上するという問題が発生した。さらに微細孔式ではμmサイズの気泡生成は不可能だとされる論文も発表され、開発は困難を極めた。しかしながら、度重なる研究の末、当社オリジナル材料複合セラミックCZ-80を使うことで気泡合一の問題を解決することが出来、更に発泡面に1m/秒程度の拡散用液流を走らせることにより、50μm以下の微細気泡を大量に生成することに成功した。
BAB発生イメージ
当社オリジナル材料複合セラミックCZ-80表面から発生するBAB(マイクロナノバブル)
- BABによるマイクロナノバブルの有効性 -
BABマイクロナノバブルは、効果的に液中にガスを溶存させることが出来る為、微生物を効率よく活性化させることが出来、従来の活性汚泥処理のランニングコストを半分以下にすることが出来ます。
微生物処理で最も重要なことは、微生物の活性度を上げることです。一般的に空気をディフューザー等の散気装置を使用し、汚泥に空気を送り込みます。
現在までにナノレベルの気泡を用いた例はありませんが、今中忠行教授(京都大学名誉教授)の実験により、マイクロナノバブルは最も少ないエネルギーで微生物を増やし、処理層の能力を向上させることが分かりました。特にバチルス菌を優勢にし、窒素リンの除去にも効果があります。
従来の活性汚泥方式による排水処理は、酸素供給に多くのコストがかかります(全体の50∼80%)。しかしBABマイクロナノバブルを使った処理方法は、わずかなエネルギーで酸素供給が出来、大幅なコスト削減とCO2削減を行うことが出来ます。
自然界においても、滋賀県の琵琶湖の底泥(ヘドロ)を3か月で530mm減少させ、新潟県阿賀野市にある瓢湖においても、わずか2週間で50mmも減少させることが出来ました。(空気のみで実験)このように自然界においても、好気性菌が活性化することが確認され、今後の環境改善に利用していけることが判明しました。